倉庫番について

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* Sokoban - Copyright 1982 THINKING RABBIT Inc. JAPAN


公的な歴史
 シンキングラビットにより1982年にリリースされた8ビットパーソナルコンピュータ(PC)向けパズルゲーム。各種PC版がリリースされ、その後の続編も多数。続編は主に各種コンシューマ向けにリリース、アーケード版も存在していました。現在においてもコンシューマ向けではプレイステーション(PS)版、ファミコン(FC)版、PC向けでもNEC MS-DOS版、Windows版、Java版などで容易に楽しめます。日本生まれのゲームですが海外にもファンが多く、海外の検索エンジンで「sokoban」を探すとかなりの数のウェブサイトが見つかるほどです。
 ゲーム内容はというと、壁に囲まれた部屋に荷物が幾つか散らばっており、それを人を動かし格納場所に全てセットするのが目的。荷物は1つずつを押すことだけしかできないという制限がこのゲームの単純さ、そして奥深さを形成しているといえます。
 また、同様のゲームとして「TNT Bomb! Bomb!」というソフトも同社より発売されました。基本的に倉庫番の荷物に何種類かの導火線のパターンが描かれており、(水道管ゲームの管のパネルを想像して下さい)導火線が一本に接続されるよう倉庫番の面のような中で動かし、並べればよいわけですが、乱暴に言ってしまえば荷物を置く場所があらかじめ制限された倉庫番みたいなもので、難易度はかなり高かったです。結局、倉庫番自体の面の難易度が投稿面などにより底上げされ盛り上がっていったせいか、TNT Bomb! Bomb!のラインのゲームは同社からは新たに出てきませんでした。

私的な歴史
 初代倉庫番が最初の出会いで、旺文社のPCゲーム紹介本で興味を深めました。雑誌上ではPC-8801版のカラー画面写真が使われていましたが、実際最初に遊んだのはMZ-80B/2000版でモノクロでした。初代は全20面、テープ版、一部機種向けを除きオールBASICで作られていたはずです。面セレクト、セーブ、手戻しなどといったヤワな機能(及び面作成エディタ)は一切なかったゆえに、後半面をプレイするにはかなりの根気と慎重さを必要としました。しかも初代に限り、11面以降は一方の方向より進入することにより消える壁が存在し、その壁を全て見つけてからようやく本来のゲームに入れるといった「仕様」になっていました。きっと当時は面作り及び解法の奥深さを認識している人がおらず、前半10面でアイデアは出尽くしたと感じていたのでしょう。後になって、小学館からかつて出ていたPC雑誌「POPCOM」(小学館)及び倉庫番の単行本にてBASICのソースリストが掲載されたのですが、その「壁抜け」の(少なくともPC-8801版向けの)ルーチンは画面上の壁のグラフィック部分の一ヶ所に似た色で点を打ち、その点のある位置により上下左右どちらから消せるかを設定するといった、まあ言ってみればかなり陳腐なものでした。よって、当時高価ではありましたが、カラーディスプレイ上を近づいて凝視すれば簡単に消せる壁が分かったのです。消すための方向も点の位置により判断可能でした。まあ不親切な部分が多かったとはいえやはりアイデアの勝利、当時のパズル好きにはたまらない一品でした。自分も当時はPC持ってませんでしたので自作の面を3ミリあるいは4ミリ方眼紙に書き込み、小さく切った紙を丸めたものを荷物としてその上に置き、シャーペンの先で動かして遊んでいました。
 そんなこんなのうち、PCの雑誌に「倉庫番2」の広告が掲載されます。「もちろん壁はびくともしません」というメッセージを添えて。難度を増した面が計50あり、しかも面作成エディタつき、さらに当時珍しい(5インチ)フローピーディスク版もあり、テープ版との値段の差もたった600円の4,900円(当時はまだディスクは千数百円程して高かった)と嬉しいこと尽くめでした。とはいえ一手も度し機能はまだなかったので、手数のかかる44面(FC版125面)は一度、49面(FC版139面)は4度程最初からやり直した覚えがあります。これがリリース頃には自宅にもNEC PC-8801mkIISRがあったので、それで全面遊びとおしました。他にPC版では雑誌PCマガジン(米誌のではなくラッセル社が昔発行していた薄目の月刊誌)に掲載された倉庫番番外編があります。これはBASICのソースリストが掲載されていたので打ち込んでプレイ、クリアしました。
 その後は150面収録のFC(ディスク)版「涙の倉庫番スペシャル」が出たりしたのですが、ファミコンは弟が所有していたもののファミコン自体興味がなく、ディスクシステムもなかったので遊びませんでした。とはいえ全150面は魅力、しばらくして上でも少し触れた倉庫番の本(The 倉庫番 - 発行:SCALE、発売:弓立社)を見つけ、そこでのファミコン版150面のデータを倉庫番2の面作成エディタで再現し、全面解きました。
 1990年代に入るとNEC PC-9801NS/E(ノート型パソコン)を購入し、倉庫番PerfectやRevengeをプレイするも、時間的に余裕のない頃でもあり全面解くには至っていません。とはいうものの花王の3.5インチフロッピー10枚パックのおまけであった倉庫番Select(全30面)は一気にクリアしました。
 1995年以降はWindows、PC/AT機が主流になったこともあり、Windows版を数種類ほど購入し、PlayStationを所持していたことから倉庫番ベーシック(全280面)、倉庫番ベーシック2(全100面)を購入、それぞれ一気に全面クリアし現在に至っています。(PS版究極の倉庫番はPC版でクリアしたので未所持、PS版難問指南は面データの重複がある割には値段設定が高いので購入には至っていません)
最近の倉庫番ではやはりPS版ベーシック及びベーシック2が、大きくて荷物が多いだけ、手数がかかるだけという面を極力排除しているせいか好感がもてます。但し、ベーシック2において全面クリア後に強制的にエンディングにいくのはいいのですが、最後に解いた面のステップデータが保存されないのはひどいと思います。

解法・ヒント
ここでは各面の解法のポイントを挙げています。
(倉庫マップはデータにしましたが、制作サイドの意向により公開いたしません。ご了承下さい)
倉庫番ベーシック (for PlayStation)
倉庫番ベーシック2 (for PlayStation)
回想
ここでは思い出の面、お勧めの面を挙げています。

FC版76面
(2の13面)
(Perfect155面)
個人的に嫌いな、でかい、手数がかかる、格納点群が複数あるという面なのですがこれは例外です。おおざっぱに処理できそうに見えて実は散らばっている荷物はおのおの格納すべき場所が決まっており、ストック技や格納する順番にも気をつけないといけません。但し、左上の荷物4つ及び格納点は蛇足、左下の荷物を入れさせるためのトラップにするのならスペースもあるのでもう少し凝ったものを用意すべきだと思います。
FC版87面
(2の1面)
(Perfect166面)
これは倉庫番2の広告で写真が掲載されていた面なので、頭の中で解いたりしたのですが、とにかく最初の荷物整理が簡単にいきそうでいかず、かつ荷物の詰め方もきが抜けないという、今なら大した面ではありませんが当時、初代倉庫番の直後という状況ではかなり手応えのある面、悪魔の手招きのような面に感じ、かなりやる気をそそったという思い出があります。
FC版90面
(番外編9面)
(Perfect168面)
これは最初、FC版の前にPCマガジンという雑誌に掲載された番外編で初お目見えした面なのですが、その記事中に面の写真が載っており、それを見た時点で面中央の荷物を置けそうなスペースがトラップだということに気づきました。ちょっと気をつければすぐに分かる程度のものなのですが、その後実際プレイした時に、ボーッとしていたのかまんまとひっかかってしまい、しかもプレイ中盤過ぎ位になってから気づき、唖然としたのを覚えています。ある意味ショックを受けた面です。
FC版95面
(2の7面)
(Perfect211面)
格納点は6x3の長方形と単純そうなのですが、荷物の格納順及び格納点の選択はかなり迷う問題です。倉庫番における荷物格納の難しさを凝縮したような面といえます。
FC版96面
(Perfect212面)
倉庫番2の広告で見た覚えがあるのですが、手元の資料によると倉庫番2には入ってない模様。流れとしては右側の荷物の整理、右側の荷物を格納点を通り過ぎ左側へ移動、左側で荷物の整理でようやく左側から荷物の格納が可能になるのですが、ここでは倉庫番における荷物のストック及び整理のエッセンスが詰まっており、それらを感じ取りやすいと思います。
FC版129面
(Perfect238面-改)
FC版150面の中で一番序盤でてこずった面。やりたくなる手の選択幅が広く、結局どれが最前手なのか見極めにくかった面です。一応最初に、左1下2左1と動くことでクリアは出来ました。
FC版139面
(2の49面)
(Perfect280面)
FC版150面の中で一番中盤でてこずった面。上にも書いたようにこれらの面はNEC PC-8801用倉庫番2の面作成エディタを用いて再現、プレイしたのですが、一手戻し機能がなかったため、この総手数3000以上の面の中盤で荷物を格納中、キーを押しすぎ置いてはいけないところまで運ぶこと4回(5回だったかも)。その度に最初からやり直し、唯一挫折しかける所までいった面です。幸い最終的にクリアしましたが、面構成自体も整理、ストック、荷物格納順(特に格納点右側)全て気を使う必要があり、かなりの難度でした。
FC版142面
(2の43面)
(Perfect284面)
スイングドアといわれる技を積極的に使わないと解けないという特徴がある面。上部の荷物3つをなくすことによって道が開けるのですが、この辺の後半面はさすがに難度が高いです。
FC版143面
(2の48面)
(Perfect285面)
FC版150面の中で一番構成に感心した面。荷物の整理、仮置き場の確保、格納順といった細かいことに常時気を使う必要がある一方、大胆な荷物移動も必要です。上で紹介した倉庫番の本ではこの面について非常に細かく説明していますが、実際やってみると書かれていないこともいろいろ感心することになるでしょう。
FC版144面
(2の27面)
(Perfect286面)
この面も倉庫番2の雑誌広告(ゲーム紹介記事かも?)で紹介されていたはずです。とにかく中央部の荷物の整理が簡単にいきそうでいかない所、当然のようにストックを作らねばならない所、それに合わせて荷物の格納順もちゃんと決まっていることなど、倉庫番のエッセンスを色濃く反映した面。上記FC143面程厳しくないですが、カラーは似ていると思います。
FC版145面
(Perfect287面)
荷物が8つ、面もそんなに大きくないですが、格納順が決まっている面。難しいです。十字架型の格納点において、上端、右端に荷物をセットすることから始めるのがよいでしょう。
FC版150面
(2の50面)
(Perfect302面)
多くの機種の倉庫番の最終面がこれです。見た感じのインパクトはそんなでもなく、まあそこそこ難しいなりにも整理と格納順さえ気をつければそう苦労せず解けます。それでも、「じゃあなぜこの面が最終面として暫くの間選ばれ続けたのだろう?」と制作側の意図を考えるのもよいと思い敢えて挙げてみました。

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